“チームM”、キセキの軌跡

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『万願寺甘とう』は、生産者全員が「部会」という共同で運営する生産者グループに必ず加入し、一定のルールに沿った生産を行なう。〝固定種〟のタネを守るという目的ばかりではなく、産品の品質を維持し結束してブランド力を高めるために必要なことだと考えるからだ。〈JA京都にのくに〉の『舞鶴万願寺甘とう部会』は、前身農協時代に「部会」を発足させた当初から、さまざまな問題を全員で時間をかけて議論に議論を重ねて、ひとつひとつ決めてきた。簡単にここまで来たわけではないという思いがある。2004(平成16)年には隣接する綾部市と福知山市の一部地域に生産を拡大した。

2015(平成27)年、〈JA京都にのくに〉の『万願寺甘とう』の生産者は400人、1,500アールで栽培する。〝固定種〟で、これだけの規模で続けている産地は国内でも稀だという。決して途絶えさせないという強い意志と、ブランドに対する高い意識が独自のモデルを作り上げた。〝固定種〟は面白い。ずーっと、ゆっくりこの地で変わり続ける。タネの歴史もそうだし、この「部会」という組織の中で、若手の生産者も古くからの生産者も、これまでの歴史を一緒に引き継いで、皆で納得しながら少しずつ変わっていけたらいい。タネを引き継ぎ、歴史を引き継ぐ。それが『万願寺甘とう部会』だ。

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 土と水と空と虫と。

おいしい『万願寺甘とう』を作るには、タネも、土づくりも、栽培技術も、全部が必要。フルセットで必要だ。さらに、その年の天候も味方してくれないとおいしく育たない。
【土づくり】
土づくりで最も重要なのは水はけだ。根の張りが浅く乾燥や過湿を嫌う品種なので酸素と水分を保つ、通気性の良いふかふかの土が必要だ。生産者それぞれが、時間をかけて、自家製の土づくりをしている。ある生産者は毎年10月から翌年2月に、地元の米の「もみ殻」と「米ぬか」を中心にたい肥を作り、土の中のバランスを保つようにする。土の中の悪い菌を抑えてくれる良い菌を入れ、病気の発生を防いでいる。
【害虫予防】
無農薬ではなく、病気や害虫の予防に農薬を使うこともある。しかし、地場野菜は元々がマイナーな存在なので、登録農薬が少なく、使える農薬は限られる。

そこで生産者は独自の取り組みや工夫もする。例えば、納豆菌や重曹を原料に作られた有機JASにも使える安全性の高い農薬を用いたり、〝天敵〟を使うなどの取り組みだ。効果的に使えばかなりの農薬使用を抑えて結果として減農薬に繋がる。
〝天敵〟は、害虫の「アブラムシ」「ハダニ」を餌として食べる肉食のカメムシやテントウ虫、肉食のダニなどだ。今後、運良く〝土着天敵〟が見つけられれば〝固定種〟らしい、地域に根ざした防除にもなる。京都府内で探して捕まえる必要があるが、探せばきっと見つかるはず、と期待も膨らむ。
【こだわり生産認証】
『京のブランド産品』の認証を受けている『万願寺甘とう』は、農薬や化学肥料の使用を減らした環境にやさしい農法「京都こだわり栽培指針」に基づいて生産され、「京都こだわり生産認証システム」によって栽培状況、記帳、情報開示などが認証検査される。
【万事快調】
昔の農作は、「一、タネ。二、肥え。三、手入れ。」と言われたというが、〝固定種〟の『万願寺甘とう』には、今も十分にあてはまる。
こまめに水をやり、「おいしくなあれ」と毎日話しかける。実の成長にはたっぷりの水分が必要だ。土壌の水分の状態も常にチェックする。
天候も左右する。梅雨の曇天が長くて、梅雨明けした瞬間から物凄い日照量で、そのあとまた曇天が長く続いたりするとさすがに難しい。
それでも『万願寺甘とう』は力のある野菜だ。正しく作れば応えてくれる。生産者にとって、作りやすい野菜だ。売る人も売りやすい。一日で萎えるようなこともない。
作って良し、売って良し、料理して良し、食べて良し。万人の願いが叶う、万願成就の〝開運野菜〟だ。
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